秋の模様替えで、廊下のニッチと受付にステンドグラスの新作を置いてみました。受付の方は、以前にあった物を改変リニューアルした物です。
先日、日経新聞の黛まどかさんのコラム「半歩遅れの読書術」を読み、「形式知」と「暗黙知」の違いについて知りました。「形式知」がデーターや数値、言葉など客観的に表示されるものであるのに対し、「暗黙知」は経験の中で獲得する個人に根ざした技能や知識であるとのこと。この対比は、検査データを重視する「一般科(身体科)」と殆どデータなど無しに診察する「精神科」の対比によく似ていると思いました。一般科の先生からしたら「何で精神科は検査もせずに診断できるのか?」と思っておられるかと思います。精神科にも一応のマニュアル的な診断基準はあるにはありますが、実際の臨床では各人の経験に基づいた独自の診断基準や精神療法、処方でやっているのが実情であると思います。 現代はデータや生産性、AIなどの「形式知」が優位な社会でもあり、医療の分野でも同様です。それは総合病院で形式知に反する医療である精神科外来がどんどん閉じられて減っている現状にも関係があると思います。一般科では症状があってもデータで異常が無ければ、不定愁訴と片づけられて「様子を見ましょう」と切られてしまいがちです。それに物足らない患者さんがどんどんメンタルクリニックに来られるのは検査至上主義の現代医療への皮肉であると思います。 医療機器は日々進歩しており、医療へのAI利用も進んで行くかと思いますが、当院では「患者と医者が至近距離で話すことでしか生じないスパークを重視した医療」、「身体で憶えていて他者に伝達することが難しい様な独自の医術を生かした医療」を愚直に目指し行きたいと思います。
本日、当院の昼休みの頃に真裏の田んぼで稲刈りが行われました。たわわに実った稲が機械の力で短時間で綺麗に刈り取られていく様子は稲刈りショーの様でした。ほぼ毎日、裏の田んぼを見ている者にとって季節の変わり目を実感します。...
2024/10/14
最近、診察をしていてよく思うことは、初診で来られる方の殆どは睡眠と食欲・便通の乱れがあることです。後者の二つは消化器系の自律神経の乱れと考えられます。便通は便秘でも下痢でもなく普通の便が出ることが快便で望ましいですが、そうは行かない人が多いです。...
2024/10/04
診察室で殆ど座って過ごす仕事は、どうしても運動不足になり長年足の浮腫みなどの不調に悩んでいました。自分で足の裏を手で揉んでもあまり効果は実感できず、プロの足裏マッサージも良いけど費用が高いのでそうは行けない。そこで、とても高価ですが思い切って毎日出来る足裏マッサージ機を購入することにしました。今日届き使い始めましたが、とても良い感じです。偶然ですが、カバーの色が当院のマークの黄緑と良く似ていました。これから手放せない足の友になりそうです。
2024/10/01
今日から10月、首相も変わり郵便料金も値上がりするなど世の中の変化を実感しています。今日は晴天の下、裏の田んぼでは稲刈りが行われました。稲刈りも刈り方が田んぼにより違う様で、今日見た所は外側から内側に向かって渦巻を描く様に刈っておられました。...
2024/09/28
最近ネットなどのマスコミでも、潜在患者数に比べて精神科医の数が圧倒的に少ないので「メンタルクリニックの予約は取りにくく何か月待ちが普通など」と書かれている。実際に当院に新しく来られる方でも「他で1カ月先とか2カ月先しか初診予約が取れない」と言われて回って来られる方も多いです。その様な風潮だと、どうせ直ぐには診て貰えないと電話をかける前から諦めてしまって受診を先延ばしにしてしまう方も多いかと想像します。しかし、精神的に追い詰められ希死念慮もある方にとっては、早く初診できるかどうかで生死を分けることもあり得ると思います。例えば速やかに診断書を書いて緊張の場から解き放つだけでも大分楽になられる方もおられます。治療の手をいかに早く打てたかが後々病気の予後にも関わって来ると言われています。当院では「空きの答え」があらかじめ分かっていれば、不安な気持ちでメンタルクリニックの門を叩かれる方にも電話し易いと思い直近で新患が診れる日をホームページ上に明示しております。
2024/09/26
精神科で一番のキーワードとなる文字「鬱」は元々「酒」に関係した文字です。まず「鬱」の左下にある「鬯(ちょう)」という字形は「鬯」は香草(こうそう)を酒壺(さけつぼ)に浸(ひた)している形です。「凵(かん)」の部分が容器で、下の「ヒ」がその脚部です。「凵」の中の「米」のような形が香草です。 その香草で、香(かお)りがついた酒を「鬱鬯(うっちょう)」と言います。古代のお祭りにはその「鬱鬯」の酒を使いました。 つまり「鬱」は甕の酒に香草を加えた鬯をふたして覆(おお)っておくと、時を経(へ)て強い香りがする酒である「鬱鬯」ができることを表した文字です。 「鬱」は「林」「缶(かん)」「冖(わかんむり)」「鬯」「彡(さん)」で出来ています。「冖」は容器(ようき)のふた。「彡」は色や香りが盛(さか)んな様子を表す記号です。「缶」は今はカンのことですが、古代では「甕(かめ)」です。木がこんもり茂(しげ)る「林」の中にある「甕」の中に醸(かも)された酒がある場面が思い浮かびます。 なぜ、この字が抑うつを意味する言葉に変わったのでしょうか?私の想像では、気「彡」が何らかの蓋で塞がれた状況を現すことが、気が塞がれる「うつ状態」という意味に転じたのだと思います。蓋は、現在で言えばプレッシャーやストレスを現すと思います。 鬱の字は書き方を憶えるのも大変難しい文字です。「リン」(林)「カーン」(缶)大統領「は」(冖)アメリカン(米)コ(凵)ーヒ(ヒ)ーを3(彡)杯飲むが、この複雑な字を書く憶え方だそうですが、私も診療の前や昼休み、診察後にコーヒーを1日3杯は飲みます。時々お酒も飲みます。帰宅後に缶ビールの蓋を開ける時は1日の疲れが抜けホッとしますね。(笑)。 臨床場面でこの字を書くのは紙カルテ時代の手書きだと大変ですが、最近では電子カルテの変換で割と第一選択で出て来る様になりましたので、やむにやまれぬ思いで当院へ来られた患者さんの切なる思いを表現すべくカルテには「うつ」ではなく、なるべく「鬱」の字で記載する様にしています。患者さんそれぞれの「鬱の蓋」を取り除くヒントを見つけるべく患者さんと共に努力したいと思っています。
2024/09/25
夜になると涼しくなり寝やすくなりました。秋に入った感じですが、もう冬準備で今年もインフルエンザワクチンが入荷しました。今年はメンタル本業に影響が無いように入荷本数を例年より減らしました。只今、準備中ですので予約開始はまた、あらためてホームページでお知らせします。
クリニック裏の枝につかまるトンボの顔が人の顔に見えました。「夏よ過ぎて行かないで」と必死に枝にしがみついている様にも見えました。 もうすぐ秋の訪れを感じます。裏の田んぼでは稲穂が実り稲刈りの時期が近そうです。毎年のことですが、こうして自分を年を重ねて行くのかなぁと思います。