デエビゴという変わった名前の睡眠導入剤の新薬がコロナ渦の中の本年7月に発売されました。ベルソムラ以来、約6年ぶりの待望の新睡眠薬である。オレキシン受容体拮抗薬というベルソムラと同じ分類に続する薬であり入眠障害はもちろん中途覚醒や早朝覚醒にも効いて、依存性などの副作用も少ないという最新鋭の睡眠薬である。当院でも既に数十人の方に使っていますが、使用実感としては「効くなぁ」の一言です。そこで思うのは、この世界でも技術革新があり、私も大昔に使ったことがある依存性の強いイソミタールなどのバルビツール酸系の薬は既に化石的な過去の薬となり、その後全盛を誇ったベンゾジアゼピン系睡眠薬は発売数十年を経た今でもその即効性で人気がありますが、依存性が強いので徐々に中心から外れ、その後の主軸はZ-drugと呼ばれる頭文字にZがつく非ベンゾジアゼピン系睡眠薬のマイスリー、アモバン、ルネスタですが、マイスリーは病名によっては保険診療上使えない場合があること、中途覚醒には弱いことや健忘の副作用があること、アモバン・ルネスタは翌日に口の苦みが残るなどの欠点もあり使いにくい面がありました。今回の新薬は、今までの薬の欠点を克服した期待のニュー・モデルであります。
人間には昼と夜しかない。昼間の心身が不調となる原因はともかく、夜の睡眠が良くなれば昼の気分体調も良くなるという治療戦略は有効であり、新しい武器を得たことは患者の皆様にとって一つの福音であると思っています。
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