矛盾という言葉は日常用語になり違和感はないですが、この矛盾と言う言葉は中国の戦国時代(西洋で言えば紀元前二百年代)の古典「韓非子」が出典です。2千年以上前から矛盾に満ちた世の中はそう変わっていないかと思われます。ここでは、この言葉の古典のいわれなどは省略しますが、いつも診察していて思うのは現代社会でも矛と盾の関係、すなわち攻撃と防御の関係は世の中を動かす基軸であるということです。身近な例では、最近のコロナウイルスが矛でマスクやフェースガードが盾でしょうか。2千年の時を経ても残ってきたこの言葉に含まれた深い意味を今思います。
現代の日本では大きな戦争はないですが、小さな争いは職場でも家庭でも頻繁に起きています。今や男女関係なく家の外で、時には家の中でも容赦なく「ストレスの槍や矛」に攻めて来られることが多いです。いかに「ストレス耐性という盾」を強くすることがこの矛盾に満ちた世の中を生き抜いて行くのには必要であると日々痛感しています。
結果として、ストレスに対する防衛力が弱い人に症状が出て精神科に受診されることになりますが、言葉の力や薬の助け、しばしの休養により御本人が持つレジリエンス(復元力、回復力など)を増やして回復に導くことが精神科治療の根幹であると考えています。
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