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ルオーの聖書風景

 先日、ジュルジュ・ルオーにつて清州市はるひ美術館館長の高北幸矢先生のアート・トークを聴く機会があった。先生には、当院のロゴマークをデザインして頂きましたご縁があります。

 館長の説ではルオーは対象(花、キリストなど)を正確に描く為に描いているのではなく、自分の芸術というものを表現する為の手段として対象(キリスト)を絵の中に用いているのではないか?とのことでした。ルオーの絵には彼独特の強いメッセージが入っているということであると私なりに解釈しました。

 20世紀最大の宗教画家と言われるルオーは、カトリックに入信したのも成人になってからであり、あまり教会に通わずエルサレムにも行ったことがないが、毎日アトリエで絵を描くこと自体が彼の信仰であり、「信じる者の芸術」を生涯を通して実践したとのことでした。

 その翌日、メナード美術館に行きルオーの「聖書風景」という作品を観ましたが、キリストの顔は詳細に描かれず、風景の中の点景として夕暮れ時に市民に寄り添うキリストが描かれていました。絵の中では、キリストと市民は上下の関係ではなく横並びのフレンドリーな関係で描かれています。

 今のコロナ渦の時代、人々が寄り添うことを禁じるような風潮がありますが、やはり医療でも医者や看護師と患者が同じ立場でフレンドリーに寄り添うことが大事であるとのメッセージを貰いました。そういう目で見ると絵の中のキリストは白衣をを着ている様にも見え、右側の人はナース服を着ている様にも見えますね。

 実物は絵葉書とは色彩が大違いで、実物の色は不思議な輝きがあります。「聖書風景」は12月20日までメナード美術館で展示されていますので是非とも実物をご覧ください。

尚、当院では待合室にルオーの作品にインスパイアされた自家製のステンドグラスの花の作品が常設展示されています。

メナード美術館 絵葉書より引用