悪心

「悪心」と書いて「おしん」と発音します。吐き気を催すような状態のことを言います。検査をしても胃や腸などの消化器系には異常がなく、精神的な要因によって生じる場合が多いです。俗に「ムカつく」とも表現される場合もあります。

　吐き気などとは呼ばずに「心が悪いから」との意味でこの言葉を創作した先人の知恵にあらためて感心します。ナウゼリン、プリンペラン、ノバミンなど昔からある西洋薬が効く場合もありますが、あまり効かない場合は漢方薬が有効な場合もよくあります。私は「柴胡（さいこ）」という生薬が入った漢方薬を使います。柴胡は心身の緊張を同時に解く精神科漢方治療の最重要生薬です。

　心理学はpsychology(サイコロジー）精神医学はpshychiatry（サイカイアトリー）と言う様に「サイコ」と言うワードは西洋医学でも精神科のキーワードになっています。西洋医学と東洋医学を保険診療で同時に行えるのはわが国ならではのこと。メンタルクリニックの診察室は言わば「サイコ（さいこ）の部屋」とも言えるでしょう。