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この額が診察室にある意味

額の左側の大きな文字は右下の詩の中にある「憂」です。金文文字で現わされたこの字は、全体として嘆き悲しむ人を表します。一番上の横の線は髪の毛に見えますが気を現しています。目から自然に溢れ出る涙を手で押さえています。この時の腕や手のポーズは「心」を表します。足をしっかり地面を踏みしめて困難に堪えています。☟

右側の大きな文字は右下の詩の中にある「解」です。

この部分は角を持つ「牛」を現しますが、牛年である私を現しているとも取れます ☟

この部分は「刀」です。精神科治療の一番の武器は電子カルテの時代でも患者さんの仰ったことを素早く書き留めるペンであると思います。☟

後解釈ですが、私にはこの額は『憂を抱えてやって来られた患者さんに、ペンという刀を背負った鈍牛の私が「大丈夫ですか?」と話しかけているシーン』にも見えます。「今までも、これからも患者さんに寄り添い、一緒に憂を解いて行きましょう」というメッセージをアートが表現している様に思えます。

と言うわけで、当院にある安藤先生の刻字額の中で私の一番好きな額なので診察室の壁に掛けているのです。