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『宴』の光景

 9月に入り猛暑の8月と比べてめっきり過ごしやすくなりました。9月は私の誕生月でもあり、1年で一番好きな月、仕事に遊びに一番頑張りたい月でもあります。

 先日、岐阜県美術館まで足を延ばした時に、メナード美術館のマグリット『宴』によく似た夕陽の光景を見ました。以前から、この絵はマグリット独特のシュールレアリスで通常ではありえない景色だと思っていましたが、この景色を見て現実風景の発展表現であると思いました。

 精神医学用語でも「幻視」という言葉がありますが、患者さんが「見えた」と仰るのは全くの非現実ではなく現実にいる人や、ある物の発展形である場合が多いです。幻視や幻聴は患者さんの感覚が鋭敏になった結果生じる症状ですので、あり得ないと簡単に片づけるのではなく、その裏にある意味を読み取るべく診察したいと心掛けています。