ベンゾジアゼピン系の薬は一般的には「依存性があり、のみ始めると癖になるので、なるべく服用しない方が良い」と言われています。ごもっともであり、当院でもなるべく最初から依存性の無い薬で治療を開始する様に心がけています。
しかし、メンタルの患者さんには不安はつきものです。急な不安の時に効果発現の遅い抗うつ剤や漢方薬では効きません。何とか急場をしのぐことが大事です。そういう時に役に立つのが即効性のある「ベンゾジアゼピン系の抗不安薬」です。抗不安薬は効果の弱い順に低・中・高力価、作用時間も短・中・長・超長時間に分かれます。当院では一番効果が弱くて作用時間が短いリーゼ(クロチアゼパム)5㎎錠を定番の頓服としています。これでも充分効きます。頓服の効果としては、外出時に持っているだけで使わなくても安心できるという「お守り効果」があります。突然、不安発作が起きるパニック障害などの方には「頓服はあくまでも発作が起きた時のお守りとして使って下さい」と言って処方することが多いです。
依存性を気にし過ぎると治療の幅が狭くなります。私も含めて多くの人が、精神依存や身体依存が抗不安薬よりも強い「アルコール」を日常的に飲んで日々の疲れを癒しています。依存性にとらわれ過ぎず即効性というプラスの面を生かして柔軟に構えることも大事かと思います。


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