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クービビック登場

 国内3番目のオレキシン受容体作動薬であるクービビック(ダリドレキサント)が昨年登場した。他の2剤はベルソムラとデエビゴである。まだ当院ではまだ処方したばかりで、患者さんの反応はまだこれからです。クービビックは私が頻用しているデエビゴに比べて、半減期が短いので朝薬が残る感じが減るのでは?と予想しております。

 この新しい睡眠薬はまだ大きな病院では採用されている所が少ない。その理由は、国公立の大きな病院では新薬を採用するのに予算上の措置が必要なので、会議で通ることが必要であり、それが結構大変だからです。私が春日井市民病院に居た時は新薬を一つ入れる時は院内処方と院外処方の両方に対応することが必要なので、院内処方用の薬を購入する予算が必要となり、新薬を一つ入れる場合は既存の薬を一つ切らないと行けないなど、とてもややこしい話になり申請が通らないことの方が多かった記憶です。特に漢方薬に関しては種類がとても多いので予算の関係で採用される薬の数はごく少数に限られてしまう。結果的に使える薬の数が限られてしまい治療の幅が狭くなってしまいます。当時私がはまり始めていた漢方薬の処方が自由に出来ないなど治療制約が大きいことが市民病院を辞める理由の一つでした。開業してからは自分の使いたい薬を使いたい放題使えます。

 他の科では手術や検査の点で開業医と差別化出来ますが、手術もなく検査も殆どない治療である精神科では、治療の武器として使える薬の数の差が治療効果の差に影響して来ます。自分のやりたい治療が出来ないとそこに勤める医師のやりがいも減り、周囲を見ていると皆開業に向かいます。その辺りが総合病院の中の精神科が徐々に寂れて行き、メンタルクリニックが増えている構造的要因であると私は考えています。