当院では開院以来、再診の方の予約に関しては比較的甘く対応していて、予約なしでふらっと来られた方も予約患者さんの隙間に入れて何とか診ていました。しかし、それではちゃんと予約をして時間通りに来られた方の診療時間が遅れることになり失礼になると最近思う様になりました。また患者さんによっては「あらかじめの電話予約が出来ないこと、予約日に連絡なしで来ないことなどルールが守れない事が病気の本質に関係があると考えられるので、本年7月からいきなり飛び込んで来られても受付できちんと「今日の予約時間」を決めて待って頂くことになりました。些細なことかもしれませんが「治療の枠作り」にもつながる大事なことだと思います。今まで予約せず突然来られていた方が、あらかじめ電話予約してから来られる様になり驚くこともあります。今後も予約ルールの徹底化を進めて行きたいと思っています。
世阿弥の『風姿花伝』の中の言葉に「男時(おどき)・女時(めどき)」がある。男時は勢いがある時、女時はその逆の時。人の気の流れは移ろいやすく、自分の努力だけではどうしようもない流れの時もあるので、そんな時はひたすら今自分がやれることをやって次に来る男時を待つしかない。待っていれば転機(チャンス)がいずれ訪れる。と、高田明さんの本に書いてありました。 長年クリニックを運営していると、日により患者さんが全然来られない日もあれば、沢山固まって来られる日もあるなど波があります。時々入る祝日や連休や天気などの妙の影響で極端に患者さんが少ない日もあり、患者さんに見放されたか?と思う程の辛い時です。そんな時はお預かりしていてまだ書けていなかった診断書を書いて次に繋げる作業の時間に充てることが多いです。 不遇の時に先を見据えて努力を積み重ねることが大事であることを世阿弥の「男時・女時」という言葉から学びました。日々の診察の中で患者さんにも伝えて行きたいことです。
精神科の診察は初診が勝負所である。初診時には、現在までの病歴が今後の診察の起点になるので看護師の予診も含めて丁寧にお聴きし、診察・診断し、助言や処方して診療終了なるが、診察後に患者さん延べられた言語情報や、医師の評価・考察などを詳細な文章としてカルテにまとめるので、精神科の初診は診察だけでは終わらない。一連の作業だけで、少なくとも一人1時間半はかかるので、精神科の初診はそんなに数がこなせない。 初診の時の記録を見れば、その人のおおよそのことが分かるので、電子カルテになった今も初診時の記録だけは直ぐに目を通せるように紙に印刷してファイルしている。スタッフにも午前・午後のミーティングでは、その日の初診の方のことの要点を伝達している。世阿弥は「初心忘るべからず」と言ったが、当院では「初診忘るべからず」である。
今、先月亡くなった父の遺品である機械式時計を身に着けている。かって父が身に着けていた時計を受け継ぐことは、親の思いを引き継ぐことにつながる様な気がして大事に使っています。...
この間、しばらくブログをお休みしていたのは、父が急に亡くなり喪主を務めたりして多忙を極めていた為でした。11月の土曜日の早朝に亡くなったのですが、私は土曜日の午前中は普通に外来をして夜に通夜、翌日曜日に葬儀を済ませて、診察を1日も休診することなく乗り切れました。...
当院の患者さんも気分の波の中で生きておられる方が多いですが、当院も週により患者さんが多い週と少ない週があり波の中で診療をしています。今週前半は先月のお盆休みの関係で再診の方も新患予約のお電話も少なく、今日に至っては新患ゼロの凪の日でした。さすがに、患者さんが少ないと私も寂しく感じ、スタッフも黙って座っているだけの時間も増え何となく間が悪い瞬間も生じます。やはりクリニックは患者さんが多く来られて賑わっているのが生きた姿であると実感します。 今日の様に時間がある時は、溜まっている診断書などの書類を書いたりもしていますが、物を想う秋の充電時間でもあります。いつも、たまにこの様な日があると、猛烈に忙しい日がやって来ます。明後日からまた気合を入れ直して頑張ります!
精神科の治療は、発症からなるべく早く症状を抑え込む初動が大事である。経験上、早く診て直ぐに投薬治療開始するほど早く良くなる。困っている人を一刻も早く救うということが一番大事なことであると思うので、当院では初診予約を他と比べて圧倒的に早く取れる様に鋭意努力している。その思いを「当院のモットー」として短文にまとめホームページの上の方の項目に掲げてみたのでご覧くださいませ。 年齢は段々重ねてきましたが、初めて医者になった時、初めて開業した時の初心を忘れず、これからも世のため人のために頑張りたいと思っています。
精神科の診察で何をポイントに診ているか?のキーワードの一つは「首尾一貫」になります。 短期的評価としては、1回の診察の始めから終わりまで会話の中味や行動に首尾一貫性があるか?がポイントになります。質問に対して理路整然と答えられるかどうか?話があちこちに飛ばないかどうか?など診ていますよ。...
精神科医は文筆業だと思います。患者さん一人一人が述べられたことを毎回、文章としてまとめるのが診療行為の半分位であると思います。特に初診の時は、ライフヒストリーから本日の受診に至るまでの経緯を起承転結を踏まえて、文章にまとめる「現病歴」と呼ぶ時間のかかる作文作業が必ず必要である。...
学校が夏休みに入り、気のせいか学生さんや学校の先生の患者さんが増えている気もしている。夏休みと言えばプールであるが、誰でも最初にプールに飛び込んで泳ぐ時には勇気が要る。しかし、時には息継ぎに失敗して水を飲みながらも、見よう見まねでやっているうちにコツを覚えて段々と泳げる様になるものである。...